澄み切った朝の空気を切り裂きながら走る早朝のバイクツーリングは、ライダーにとって至福の時間です。特に中央自動車道は、富士山やアルプスの山々を望む絶景ルートが多く、週末には多くのバイク乗りが集まります。しかし、早朝に出発したがゆえに「朝食を食べる場所が開いていない」と困った経験はないでしょうか。冷えた体を温めるコーヒーと、サクサクの焼きたてパンがあれば、その日のツーリングの満足度は格段に跳ね上がります。本記事では、中央道を利用するライダーのために、早朝から営業しており、絶品の焼きたてパンが味わえるおすすめのSA・PAを厳選して5つご紹介します。

ツーリングにおける「朝のSA・PAパン屋」の魅力と選び方

早朝のツーリングにおいて、朝食のタイミングと場所選びは、その日のルート全体のテンポを決定づける重要な要素です。コンビニのおにぎりで済ませるのも手軽ですが、SA・PAのベーカリーに立ち寄ることには、単なる食事以上の価値があります。

ヘルメットを脱ぎ、香ばしいパンの香りに包まれながら冷えた手をコーヒーのカップで温める時間は、ライダーにとって最高のウォーミングアップとなります。

バイクウェアのままでも気軽に利用しやすい空間

レストランや立派なフードコートでの食事は、分厚いライディングジャケットやブーツを装備した状態だと、どうしても窮屈に感じてしまうことがあります。また、ヘルメットやグローブを持ち歩きながらの移動は面倒です。

その点、ベーカリーであれば、パンをトングで取ってレジに並ぶだけの短時間で済み、屋外のテラス席やバイクのすぐそばのベンチで気軽に食べることができます。

自分の愛車を眺めながら、あるいは朝日を浴びながら手軽に食べられるパンは、ライダーのライフスタイルに最も適した高速道路グルメと言えるでしょう。

早朝営業の有無と「焼きたての時間帯」を把握する

SA・PAにパン屋が入っていても、営業開始時間が午前8時や9時では、早朝出発のライダーには遅すぎます。朝6時や7時から営業しており、かつその時間にしっかりと「焼きたて」が並んでいる店舗を事前に把握しておくことが重要です。

お店によっては、早朝は前日の残りや種類が少ない場合もあるため、「朝イチから充実したラインナップが揃っているか」が、優良なベーカリーを見極めるポイントになります。

ここから紹介する5つのスポットは、いずれも早朝からライダーの胃袋をしっかりと満たしてくれる名店ばかりです。

石川PA(下り):都心を出発して最初の香ばしいオアシス

東京都内から中央道へ入り、八王子本線料金所を抜けてすぐの場所に位置する石川PA(下り)。ここは都心を出発したライダーが最初に小休止をとる定番のスポットであり、早朝から多くのバイクで賑わいます。

ここのパン屋は朝早くから営業しており、これから始まるロングツーリングに向けてテンションを上げてくれる、まさに「出発の儀式」にふさわしい場所です。

朝6時からオープン!ライダーの朝を支える名店

石川PAのベーカリーは、なんと朝6時から営業を開始しており、早起きしたライダーの強い味方となっています(※営業時間は変更になる場合があります)。店内に入ると、ガラス張りの工房からパンを焼き上げる甘く香ばしい匂いが漂ってきます。

石川PAベーカリーのおすすめポイント
  • 朝6時という圧倒的な早朝営業で、日の出ツーリングにも対応
  • 都心を抜けた直後の緊張感をほぐす、優しい味わいの総菜パン
  • バイク駐車場のすぐ近くにベンチがあり、移動距離が短い

朝イチの澄んだ空気の中で、淹れたてのコーヒーと一緒に食べる焼きたてパンは、眠気を吹き飛ばし、ライディングへの集中力を高めてくれます。

名物「石川ジャンボハムカツパン」でガッツリ朝食

ここのベーカリーで絶対に押さえておきたいのが、ボリューム満点の総菜パンの数々です。特に有名なのが、多くのメディアでも紹介されている名物「石川ジャンボハムカツパン」です。

朝から巨大なハムカツは少し重いのでは?と思うかもしれませんが、ツーリングの朝は想像以上にカロリーを消費するため、このくらいのガッツリ感がちょうど良いのです。

サクサクに揚がった分厚いハムカツと、パンのふんわりとした食感のコラボレーションが、冷えた身体に強烈なエネルギーを注入してくれます。出発前の元気付けには最適の一品です。

談合坂SA(下り):圧倒的な品揃えとご当地食材の宝庫

中央道を山梨方面へ進むと現れるのが、日本有数の規模を誇る超大型施設、談合坂(だんごうざか)SAです。ここはグルメの宝庫として知られていますが、ベーカリーのレベルの高さも群を抜いています。

マスツーリング(集団でのツーリング)の集合場所として使われることも多く、広大なバイク駐車場にバイクを停めたら、迷わずベーカリーコーナーへ直行しましょう。もし帰り(上り)の大渋滞が不安な場合は、事前に談合坂SA周辺の渋滞回避ルートと抜け道をチェックしておくこともお忘れなく。

迷ってしまうほどの豊富なラインナップ

談合坂SAのベーカリーの特徴は、まるでデパ地下の人気パン屋かと思うほどの、圧倒的な種類の豊富さにあります。甘い菓子パンから、ボリューム満点の総菜パン、そしてハード系の本格派パンまで、あらゆるニーズに応えてくれます。

早朝の時間帯から棚にずらりと並ぶ焼きたてパンの光景は壮観で、仲間と一緒に「どれにする?」と悩みながら選ぶ時間もツーリングの楽しいイベントの一つになります。

何人かで別々のパンを買ってシェアし合うのも、大型SAならではの楽しみ方です。

「甲州信玄ラスク」や「富士山メロンパン」が人気

ここで必ず食べておきたいのが、山梨県や富士山周辺のご当地感を押し出したオリジナルパンです。特に、富士山の形を模した「富士山メロンパン」は、見た目の可愛らしさだけでなく、外はサクサク、中はフワフワの本格的な味わいで大人気です。

また、お土産としても人気の「甲州信玄ラスク」など、日持ちのする商品も販売されているため、ツーリング先で食べるおやつとしてタンクバッグに忍ばせておくのもおすすめです。

テラス席に座り、遠くの山並みを眺めながらこれらの名物パンを頬張れば、都会の喧噪から完全に離れたことを実感できるでしょう。

双葉SA(下り):アルプスを望む絶景とこだわりの手作りパン

山梨県の甲府盆地を抜け、徐々に標高を上げていく途中に位置する双葉(ふたば)SA。ここは、晴れた日には南アルプスの山々や富士山をくっきりと望むことができる、中央道屈指の絶景スポットです。

大自然のパノラマを背景に食べる朝食は、どんな高級ホテルのモーニングにも負けない至福の体験を提供してくれます。

富士山を眺めながらの贅沢なモーニングコーヒー

双葉SAのベーカリーでパンとコーヒーを購入したら、ぜひ展望台や見晴らしの良いテラス席へ移動してください。朝の冷たい風を感じながら、目の前に広がる雪化粧をした富士山や雄大なアルプスの稜線を眺めることができます。

美しい景色という「最高のスパイス」が加わることで、シンプルな塩パンやクロワッサンが、信じられないほど美味しく感じられるはずです。

この景色を見るために早起きしてバイクを走らせてきたのだと、心の底から実感できる最高のモーニングタイムになります。

地元食材を活かした「シャインマスカットパン」

双葉SAがある山梨県は日本有数のフルーツ王国であり、ここのベーカリーでも地元のフルーツをふんだんに使用した限定パンが季節ごとに登場します。

秋のシーズンには、高級なシャインマスカットを贅沢にトッピングしたフルーツデニッシュなどが店頭に並び、ライダーの疲れた身体にフレッシュな甘さを補給してくれます。

季節の移ろいを目だけでなく舌でも感じることができるのが、このSAのベーカリーの大きな魅力です。ツーリングのたびに立ち寄り、新しい季節のパンを探すリピーターが多いのも頷けます。

諏訪湖SA(下り):湖畔の爽やかな風と極上の温泉併設

長野県に入り、眼下に美しい諏訪湖が広がる絶好のロケーションにある諏訪湖SA。ここはベーカリーが充実しているだけでなく、なんとハイウェイ温泉が併設されていることで、全国のライダーから聖地のように愛されているSAです。

早朝の冷え込みで限界まで冷え切った体を、これ以上ない形で癒やしてくれる究極の休憩スポットです。

朝風呂のあとに食べるパンの至福

諏訪湖SAのハイウェイ温泉は早朝から営業しており、諏訪湖を見下ろしながら湯船に浸かることができます。冷え切った指先やこわばった肩の筋肉を温泉でしっかりとほぐした後、湯上がりでぽかぽかの体のままベーカリーへ向かいましょう。

諏訪湖SAでの究極の朝ルーティン
  • 早朝の冷え込みを耐えて諏訪湖SAへ到着する
  • ハイウェイ温泉に直行し、絶景を見ながら朝風呂を堪能
  • 湯上がりにベーカリーで冷たい牛乳と焼きたてパンを購入する

この温泉とパンのコンボは、中央道ツーリングにおける一つの「完成された様式美」と言っても過言ではありません。

信州りんごを使った絶品アップルパイ

長野県といえばりんごですが、諏訪湖SAのベーカリーでは、地元産の信州りんごをたっぷりと使用したアップルパイやデニッシュが名物となっています。

サクサクのパイ生地の中に、シャキシャキとした食感と甘酸っぱさが残るりんごのコンポートがぎっしりと詰まっており、コーヒーだけでなく紅茶や牛乳とも相性抜群です。

このアップルパイをかじりながら、朝日にキラキラと輝く諏訪湖の水面を眺めれば、この後のビーナスラインや信州のワインディングロードに向けて、最高の気分でリスタートを切ることができます。

早朝ツーリングを成功させるための装備とマナー

早朝から営業している美味しいパン屋をルートに組み込むことで、ツーリングの満足度は大きく上がります。しかし、早朝の高速道路を安全かつ快適に走るためには、しっかりとした準備と、他の利用者への配慮も忘れてはいけません。

早起きは三文の徳と言いますが、それも十分な備えがあってこそです。

「朝の冷え込み」を甘く見ない防寒対策

春や秋のツーリングシーズンであっても、早朝の中央道(特に談合坂以降の山間部)の気温は、平野部とは比べ物にならないほど冷え込みます。想像以上の寒さに震え上がり、SAにたどり着く前に集中力を削がれてしまっては元も子もありません。

メッシュジャケットの下に防風インナーを着込む、ネックウォーマーや冬用の厚手グローブを用意するなど、日中よりも「一回り重装備」で出発し、気温が上がってきたらSAで脱いでいくのが基本のレイヤリングです。

体が冷え切る前に、こまめにベーカリーのあるSAに立ち寄り、ホットコーヒーで体の中から温めることを心がけてください。

バイクの駐車マナーと周囲への騒音配慮

早朝のSA・PAは、長距離トラックのドライバーや車中泊の家族連れなど、多くの人が仮眠をとっている時間帯でもあります。マスツーリングなどで複数台のバイクが集まる場合、エンジンの空ぶかしや、駐車場での大声での談笑は深刻な迷惑行為となります。

駐車場に入る手前からできるだけ静かに走行し、指定された二輪車専用駐車場に整然と停め、ヘルメットを脱いだら静かにベーカリーへ向かう大人のマナーを徹底しましょう。

ライダーの行動一つ一つが、世間のバイクに対する印象を決定づけます。美味しいパンを楽しむためにも、すべての利用者が気持ちよく過ごせるような「スマートな振る舞い」を忘れないでください。もし天候が崩れそうな場合は、北海道の屋根付き駐輪場SAの紹介記事などで解説されているような、雨宿りできる設備があるかどうかも事前に確認しておくと安心です。

まとめ

中央自動車道には、早朝から出発するライダーの冷えた体と空腹を満たしてくれる、魅力的なベーカリーを併設したSA・PAが数多く存在します。

出発直後の気合を入れる石川PA、種類豊富なグルメの宝庫である談合坂SA、絶景の富士山を望む双葉SA、そして極上の朝風呂が楽しめる諏訪湖SA。それぞれの個性あふれる焼きたてパンとコーヒーは、ツーリングの「単なる休憩」を「目的の一つ」へと昇華させてくれます。

早朝の澄んだ空気と美しい景色、そして最高の朝食。これらすべてを味わうことができる中央道は、やはりライダーにとって特別な道です。しっかりと防寒対策を整え、マナーを守って、次回の週末は極上の「朝パンツーリング」へと出かけてみてください。

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