電気自動車(EV)で長距離ドライブに出かける際、避けて通れないのが高速道路上での「充電時間」です。一般的な急速充電器では1回につき約30分の時間が必要となり、急いでいる時にはこの待ち時間がストレスに感じられることもあります。しかし、見方を変えれば、この30分間は「強制的に与えられた絶好のランチタイム・休憩タイム」でもあります。関西から中国地方を横断する中国自動車道(中国道)では、近年高出力の急速充電器の整備が急速に進んでおり、同時に絶品のご当地グルメを提供するSA・PAが多数存在します。本記事では、EV充電の30分間を「退屈な待ち時間」から「極上のグルメタイム」へと変えてくれる、中国道のおすすめSA・PAを厳選してご紹介します。

目次
  1. 中国自動車道におけるEV急速充電器の最新事情
  2. 【岡山県】勝央SA:充電中にガッツリ!名物「ホルモンうどん」
  3. 【兵庫県】加西SA:関西と中国地方を結ぶ大動脈で味わう本格ランチ
  4. 【広島県】安佐SA:長距離移動の中継点で広島名物を堪能
  5. 【山口県】王司PA:本州の端で味わう、長年愛される伝説の「肉うどん」
  6. EV充電中の30分間をさらに充実させるための「SA・PA活用テクニック」
  7. まとめ:EVの充電待ち時間は、中国道のご当地グルメと出会う最高のチャンス

中国自動車道におけるEV急速充電器の最新事情

山間部を多く縫って走る中国自動車道は、アップダウンが激しく、EVのバッテリー消費が平坦な道よりも早くなる傾向があります。そのため、NEXCO西日本を中心としたインフラ整備が急ピッチで進められています。まずは現在の充電器のスペックと賢い活用法について解説します。

2025年以降に続々と導入が進む「90kW級」の急速充電器とは?

これまで高速道路のSA・PAに設置されていたEV用急速充電器は、出力が40kW〜50kW程度のものが主流でした。しかし、近年発売されている大容量バッテリーを搭載した最新のEVにとって、この出力では30分間で十分な航続距離分を充電できないという課題がありました。そこで中国道でも、2024年から2025年にかけて、従来の約2倍のスピードで充電が可能な「90kW級(2口タイプ)」の最新型急速充電器へのリプレイスと増設が次々と行われています。

例えば、後述する加西SAや勝央SA、安佐SAなど主要な拠点にはすでに90kW機が導入されており、対応している車両であれば、同じ30分の休憩時間でもこれまでの倍近い電力を一気にバッテリーに流し込むことが可能になりました。これにより、「次の目的地まで電気が持つだろうか」という電欠の不安(レンジアングザイティ)が劇的に解消され、より安心して長距離ドライブを楽しめる環境が整いつつあります。

「高速充電なび」アプリを活用した、充電待ちを回避するスマートな走行計画

高出力な充電器が増えたとはいえ、週末や大型連休などには充電渋滞(充電器の順番待ち)が発生するリスクは依然として残っています。せっかく美味しいランチを食べようとSAに入っても、充電器自体が空いていなければ計画が台無しになってしまいます。

そこでおすすめしたいのが、スマートフォンの専用アプリ(「高速充電なび」や「e-Mobility Power」アプリなど)をフル活用することです。これらのアプリを使えば、走行中の助手席から、数キロ先にあるSA・PAの「現在の充電器の空き状況」をリアルタイムで確認することができます。「次のSAは満車だから、今のうちに一つ手前のPAで充電してしまおう」といった柔軟なルート変更が可能になり、無駄な待ち時間をゼロにするスマートなドライブが実現します。

【岡山県】勝央SA:充電中にガッツリ!名物「ホルモンうどん」

岡山県北部の津山地方に位置する勝央(しょうおう)SAは、中国道の中間地点として非常に重要な充電拠点となります。上下線ともに90kWの急速充電器が設置されており、安心して立ち寄れるSAです。

90kW急速充電器が2口設置!余裕を持った充電が可能な重要拠点

勝央SA(上下線)には、最新の90kW急速充電器(2台同時充電可能な2口タイプ)が設置されています。関西方面から広島・島根方面へ向かう場合、あるいはその逆のルートにおいても、ちょうどバッテリー残量が心許なくなってくる絶妙なタイミングで現れるため、多くのEVドライバーにとってまさに「オアシス」のような存在です。2口設置されていることで、もし先行車が充電中であっても、もう片方が空いていれば待つことなくすぐにプラグインできるため、精神的な余裕を持ってSAに入ることができます。広い駐車スペースの一角に分かりやすく配置されており、雨天時でも作業がしやすいように屋根(キャノピー)の設置も進められています。

津山地方のソウルフード「ホルモンうどん」でスタミナ満点のランチタイム

車に充電プラグを挿し込んだら、いよいよ極上ランチタイムのスタートです。勝央SA(下り線)のフードコートで絶対に食べておきたいのが、地元津山地方のB級グルメとして全国的な知名度を誇る「津山名物・ホルモンうどん」です。

新鮮でプリプリとした牛ホルモン(内臓肉)と大量のキャベツやネギを、特製の甘辛い味噌ダレと一緒に極太のうどん麺に絡めて鉄板で豪快に焼き上げた一品です。熱々の鉄板皿で提供されるため、最後まで冷めることなくハフハフと食べ進めることができます。濃厚な味噌の風味とホルモンの強烈な旨味は、長時間の運転で疲労した身体に強烈なスタミナを注入してくれます。注文してから提供されるまでの時間も比較的短く、食べる時間を含めてもちょうど30分の充電枠にピタリと収まる、まさにEVドライバーのための完璧なランチメニューと言えます。

【兵庫県】加西SA:関西と中国地方を結ぶ大動脈で味わう本格ランチ

兵庫県に位置する加西(かさい)SAは、名神高速や新名神高速から中国道へと入ってきた車が最初に立ち寄る大規模なサービスエリアであり、設備の充実度はトップクラスです。

関西からの出発・帰宅時に最適なタイミングで充電できる絶好の立地

加西SA(上下線)も、中国道の中でいち早く90kW(2口タイプ)の最新急速充電器へのアップデートが完了している非常に重要な充電拠点です。大阪や京都、神戸など関西の主要な都市部を自宅から満充電で出発した場合、ちょうど最初のトイレ休憩やコーヒーブレイクを取りたくなる距離感に位置しています。また逆に、中国地方の長旅からの帰路においては、都市部の複雑で慢性的な大渋滞(例えば宝塚トンネル付近の渋滞など)へ突入する前の「最後の確実な電力補給ポイント」として機能します。渋滞中にバッテリー残量が目に見えて減っていく恐怖は、EVドライバーにとって最大のストレスとなるため、ここ加西SAで確実に80%程度まで余裕を持って充電を行っておくことが、安全で平和な帰宅のための鉄則となります。

地元食材を活かしたレストランで、時間を有効活用するゆったりとした食事

加西SAには、手軽なフードコートだけでなく、落ち着いて食事ができる本格的なレストランが併設されています。30分という充電時間を「せわしない待ち時間」と捉えるのではなく、「せっかくならゆっくりと地元の味を楽しもう」とポジティブに切り替えるのがEVドライブのコツです。

レストランでは、地元兵庫県のブランド豚を使ったカツ膳や、播州百日どりを使用した本格的な定食など、質の高いメニューが提供されています。コンビニのパンやおにぎりを車内で急いでかき込むのではなく、広々としたテーブル席に座り、窓の外の景色を眺めながら温かい食事をいただく。車が勝手に電力をチャージしてくれている間に、人間もしっかりと栄養と休息をチャージするという、非常に効率的で豊かな時間の使い方が可能になります。

【広島県】安佐SA:長距離移動の中継点で広島名物を堪能

広島県の山間部に位置する安佐(あさ)SAも、中国道を走破する上で欠かすことのできない中継ポイントです。中国山地の深い緑に囲まれた自然豊かなSAで、心身ともにリフレッシュしましょう。

広島北部の山間部を抜ける前の「命綱」となる90kW急速充電器

安佐SA(上下線)にも、EVドライバー待望の90kW急速充電器(2口)が設置されています。ここから西の山口方面や、北に分岐して島根県の浜田自動車道方面へ向かう場合、標高の高い中国山地の山越えルートが長く連続し、キツい上り坂での電力消費が平地よりもはるかに激しくなります。また、冬場は積雪によるチェーン規制が頻繁に敷かれる豪雪地帯でもあり、暖房(ヒーター)の強い使用によってバッテリーの減りがさらに早まるという厳しい環境です。そのため、この安佐SAでの確実な事前充電は、文字通り冬山を安全に越えるための「命綱」となります。高出力充電器のおかげで、短時間の休憩であってもしっかりと山越えに必要な十分な電力を蓄えることができるのは、非常に心強いポイントです。

本格的な「広島風お好み焼き」と、食後のデザートに最適な洋菓子

安佐SAのフードコートでは、広島県ならではの本格的な「広島風お好み焼き」を味わうことができます。生地の上にたっぷりのキャベツ、豚肉、そして中華麺(そば)を重ねてじっくりと焼き上げ、甘口の濃厚なオタフクソースと青のりをたっぷりとかけた王道の一品です。

お好み焼きは注文が入ってから鉄板で丁寧に焼き上げるため、提供までに少し時間がかかります。しかし、EVドライバーにとっては「調理に時間がかかる料理」はむしろ大歓迎です。車にプラグを挿し、注文を済ませて待っている時間が、そのまま車の充電時間と完璧にオーバーラップするからです。熱々のお好み焼きを平らげた後は、売店で販売されている地元広島の有名洋菓子店のケーキやお菓子をデザートとして買い込み、充電完了の通知が来るまで車内でゆっくりと楽しむという、至れり尽くせりの30分間をデザインすることができます。

【山口県】王司PA:本州の端で味わう、長年愛される伝説の「肉うどん」

本州の最西端、関門海峡を目前に控えた山口県の王司(おうじ)PAは、パーキングエリアでありながら大型SAにも劣らない存在感を放っています。本州と九州を行き来する長距離ドライバーの胃袋を支え続けてきた伝説のグルメが存在します。

九州への玄関口を前に、確実なバッテリー残量を確保するための重要PA

王司PA(上り線)には、利便性の高い90kW(2口)の急速充電器がしっかりと設置されています。ここは関門橋を渡って九州(福岡県)へ上陸する直前、あるいは九州から本州へ上陸した直後に現れる最初のPAとして、長距離移動の総仕上げとなる重要な充電を行うための極めて戦略的なスポットとなります。特に本州から九州方面へ向かう場合、関門海峡を越えた先の九州自動車道に入ってからでもSAでの充電は当然可能ですが、未知の渋滞リスクなどを考慮すると、海を渡る前に本州側でしっかりとバッテリーを満たしておくことが推奨されます。見知らぬ土地に足を踏み入れた際の心理的な安心感が全く違ってくるからです。

トラック運転手も絶賛!甘辛く煮込まれた牛肉がたっぷりの「王司名物・肉うどん」

ここ王司PAで絶対に外せないのが、長年にわたり全国のトラックドライバーから愛され続けている伝説のメニュー「王司名物・肉うどん」です。PAの小さなフードコートで提供されているにもかかわらず、これを目当てにわざわざ立ち寄る人が後を絶ちません。

特徴は、なんといってもうどんの表面が見えなくなるほどたっぷりと乗せられた牛肉です。醤油や砂糖でじっくりと甘辛く煮込まれた牛肉の旨味と脂が、関西風の透き通ったお出汁に溶け出し、最後の一滴まで飲み干したくなるほどの奥深いコクを生み出します。柔らかなうどん麺と一緒にすすり込めば、長旅の疲労が一瞬で吹き飛びます。提供スピードが非常に早いため、うどんを急いで食べ終えた後、売店でお土産の「ふぐかまぼこ」などを選ぶ余裕すら生まれます。短時間で高い満足度を得られる、EVドライブに最適な最強のファストフードです。

EV充電中の30分間をさらに充実させるための「SA・PA活用テクニック」

美味しいご当地ランチを楽しむことで充電待ちは極上タイムに変わりますが、共有インフラである急速充電器をスマートに利用するためには、いくつかの重要なマナーとコツを知っておく必要があります。

充電器のディスプレイ表示に注意し、マナーを守って次の人に譲る

SA・PAに設置されている急速充電器は、1回あたりの利用時間が「最大30分間」と厳格にルール化されています。ランチに夢中になるあまり、この30分を過ぎても車を充電スペースに放置してしまうのは、マナー違反(放置駐車)であり、次に充電を待っているドライバーに多大な迷惑をかけることになります。

食事と充電を両立するスマートな行動手順
  • 車の充電を開始したら、スマートフォンのタイマーを「25分」にセットしてからレストランへ向かう
  • 食事がまだ終わっていなくても、タイマーが鳴ったら必ず一度車へ戻り、充電器のプラグを抜く
  • 車を一般の駐車スペースへ移動させてから、再びレストランへ戻りゆっくりと食事の続きを楽しむ

このちょっとした気遣いとマナーの連鎖が、すべてのEVドライバーが気持ちよく高速道路を利用できる環境を作ります。「自分の充電が終わったら即座に車を動かす」というルールだけは絶対に忘れないようにしましょう。

食事と充電のタイミングを合わせるための、同乗者との連携プレー

家族や友人など、複数人でEVドライブを楽しんでいる場合は、見事な「連携プレー」によって30分間を最大限に有効活用することができます。

SAに到着し充電器の前に車を停めたら、運転手は車の充電操作(プラグの接続や認証カードのタッチなど)を行います。その間に、助手席のパートナーには先走ってフードコートやレストランに行ってもらい、席の確保と料理の注文(食券の購入)を済ませてもらうのです。運転手が充電の手続きを終えて店内に入る頃には、すでに熱々の料理がテーブルに運ばれてきているというパーフェクトな流れを作り出すことができます。これなら、調理に時間がかかるメニューであっても、30分の充電時間内に余裕で完食し、トイレを済ませてから車を移動させることが可能になります。

まとめ:EVの充電待ち時間は、中国道のご当地グルメと出会う最高のチャンス

ガソリン車からEVに乗り換えた直後は、「高速道路での充電待ち=時間の無駄、面倒くさいもの」というネガティブなイメージを持っている方も多いかもしれません。しかし、今回ご紹介した勝央SAの「ホルモンうどん」や王司PAの「肉うどん」のように、その土地でしか味わえない絶品のご当地グルメと出会うきっかけになると考えれば、その30分間はドライブ旅行における最高のスパイスへと変化します。

中国自動車道では90kWの高出力充電器の整備が進み、インフラ環境は飛躍的に向上しています。「高速充電なび」で空き状況をスマートにチェックし、マナーを守って30分で確実に車を移動させる。そして、車が電気を食べている間に、人間は最高に美味しい地元の味を堪能する。この「人間と車の同時充電」という新しいドライブのスタイルを身につければ、あなたの中国道EVドライブはこれまで以上に快適で、そして美味しい思い出に満ちたものになるはずです。次の週末はぜひ、絶品ランチを目標に設定したEV充電ツアーに出かけてみてはいかがでしょうか。

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